Ns森の漢方養生ノート6頁

ブログは4月末で閉鎖します。
引っ越し先はこちら→NSかろこんの漢方養生ノート

♪ご意見ご感想はこちら

読んでくださったみなさまへ 2024年 桜咲く春の日に…

今回をもちまして、NS森の漢方養生ノートをおしまいにします。

わたくしの趣味の延長のようなブログを読んでくださったみなさま、心より(ハラより)お礼申し上げます。
文章を書くとき、思い浮かべていたのは、子育てをしているお母さん方でした。
父親の育児参加、地域での子育て、などと言われて久しいですが、お子さんを10か月お腹の中で大切にはぐくみ、命をかけて産み、育てているのは「お母さん」だと自分は思っています。
そして、これは女性にしかできないことで、神様が与えてくれた役割と喜び。
でも、それはそれは大変なことばかり。
そんな、お母さん方に向けて書いていました。

こちらのブログは閉鎖しますが、ただいま絶賛お引越し中。
漢方の勉強ものんびり、たのしく続けつつ、新しい場所で、これからも発信していく予定です。
よろしかったら、のぞいてみてくださいませ。

では、さようなら♪

院内掲示板より 2024・4・14

最後の院内掲示板は「ハラ」のお話です。
漢方では、なによりお腹を整えることを大切だと考えます。
単なる「胃腸」ではなく、ハラと心はつながっていると考えるからです。

「ハラ」にまつわる言葉はたくさんあります。日常で何気なく使っているものばかり。
どれをとっても、お腹の言葉ではなく、気持ちや心の中を表しているのが分かります。

生きていると、ハラに従って体を動かすことはほんのちょっぴり。
ほんねとたてまえ…というやつですね。
でも、迷ったときには「ハラ」に従え!なのだそうですよ。
それは自分を守ることにもなります。

ハラ、とは直感や感性のことを指します。
会った瞬間に「いい人」と感じたり、今日はこっちの道で行こう!
などは、「ハラ」に従っているのです。
逆に「なんかいやだな」「行きたくない」というのも体からの信号なのかもしれません。

お腹が痛くなるほど、笑うというのは心の底からの笑い。ハラと頭が完全一致した笑いです。これは体に良い笑いですね。
一方、「ふん」という笑いは「ハナ」で笑うと表現されます。一般的にも、あまり良い意味では使われませんね。

どうか、みなさんに、お腹を抱えて笑えることがたくさんありますように。

時間はかかります 2024・3・29

体調が悪い時、すぐに治したいと思うのはあたりまえかもしれません。
痛いのがすぐなくなる、咳がすぐ止まる、鼻水がすぐに止まる、熱がすぐ下がる、薬をください・・・
病院で処方される西洋薬は、ほとんどが「対症療法」です。
そして、薬を飲んで良くなったと感じているのも、実は半分以上「自分」で治しているのです。それには少し時間を要するのです。

これは、養生に似ています。
養生の効果は、かなり時間がかかる場合もあります。でも、着実にちょっとずつ整っているのも確

かです。
「最近、お腹の調子がいいかも」「そういえば雨の日の頭痛が減ったかな」「朝起きた時に、気分が晴れやかになったなあ」など、
養生の積み重ねが花を咲かせる日が来た時に、自分を大切にできたという喜びも手にできると思います。

舞い上がる風 2024・2・19

春一番が吹きました。
寒い冬が終わり春が来た~とワクワクしますが、今年はものすごい強風でしたね。
同時にいやーな花粉の季節到来・・・

外邪(がいじゃ)としての「風」は、体の上の方へいろんなものを巻き上げます。強風の日、落ち葉やゴミが舞い上がり、気温も上がりました。
同じようなことが起こります。
頭痛、めまい、顔のほてり、首から上の湿疹(赤い)、熱、目の充血、くしゃみ、しゃっくり、ゲップ、などなどです。

実際、頭痛やじんましんのお子さんが多くなっています。
風邪(ふうじゃ)は、熱や湿も一緒に運んでくるちょっと厄介者です。この季節「湿」はありませんが、熱も連れてきてしまうと、赤い発疹が出たり充血などを起こすのです。
深呼吸をして、上がってきたものを下に下げるイメージをしてみましょう。
下半身を温めると、上半身の熱が下へ移動するともいわれています。春先は素足は避けましょう。足首だけでもカバーするといいですよ。

季節に応じて自分の(お子さんの)体調の変化を感じとり、対処できるようにすると養生生活ワンランクアップです♪

銀翹散(ぎんぎょうさん)2024・2・11 

「のどの痛みを抑える、炎症を取るようなお薬はありませんか」

最近、よく患者さんから聞かれる言葉です。
風邪のほとんどはウイルスによるもので、最近はのどの痛みや頭痛を訴えるお子さんの受診が多くなっています。
残念ながら、のどの痛みを抑える薬は・・・西洋薬ではこれといったものがありません。
座って静かになめることができれば「桔梗エキス」が含まれている漢方トローチやタブレット(龍角散桔梗タブレット)、のど飴なども効果があるかと思います。
ただ、小さいお子さんはのどに詰まらせる危険があるのであまりオススメしません。

そこで、漢方薬をひとつご紹介。タイトルになっている「銀翹散」(ぎんぎょうさん)です、ドラッグストアにも売られています。
風邪の初期で、のどの痛みにはけっこう効くと思います。
先日、私も買ってきました。

どんな生薬が入っているかというと。。。

連翹(れんぎょう)金銀花(きんぎんか)炭竹葉(たんちくよう)→熱を冷まし、解毒します
薄荷(はっか)牛蒡子(ごぼうし)淡豆子(たんずし)→体の熱を冷まし邪気を追い払います
荊芥(けいがい)→熱によるもの、寒によるものの両方に使える解表薬
桔梗(ききょう)→痰を鎮め、咳を抑える
芦根(うこん)→熱を冷ます
甘草→諸薬の調和 


圧倒的に「熱」を取る生薬がてんこもり!
炎症、と言い換えることもできるかもしれません。

ただし、ウイルスではない菌でのどの痛みがひどい「溶連菌感染症」も流行しているようなので、その場合は抗生物質を使います。
ご心配な場合は診察をお受けください。

金柑の砂糖煮 2024・1・17

今シーズンが庭の金柑が大豊作!
鳥が食べてもまだたくさん実がなっています。

久しぶりに砂糖煮にしてみました。
金柑は洗ってヘタを取ったら、包丁で何か所かたてに切れ目を入れます。実と同じくらいの砂糖で煮たらできあがり。
今回はお肌のトラブルにも効くてんさい糖を使いました。

金柑の効能は・・・
胃腸を整える
咳や痰も鎮める
気を巡らせる

など。
金柑のど飴というくらいなので、この季節の悩ましい症状に最適ですね。のどの痛みにもよさそうです。

それにしてもきれいな色です♪

セルフメディケーション追記 2024・1・10

ひとつ前の投稿に追記です。

ご紹介した書籍にも、きちんと書かれていますが、高齢者や基礎疾患がある方、小児、においてはすみやかに受診が必要な場合があります。
判断に迷うこともありますが、小児の場合はいつも院長がお話するように「お父さんお母さんが心配だと思い、受診しようと思ったら医療機関へ」です。夜間の場合は、まず小児科の先生がいる病院への問い合わせをしましょう。
普段の様子を知っている保護者の方が、「なんかおかしい、なんか心配」というのはとても大切な情報です。

なにがなんでもセルフメディケーションというわけではありません、ということを付け加えさせていただきました。

セルフメディケーション 2024・1・1

2024年が始まりました。
漢方養生ノートをご覧くださってありがとうございます。今年もできる限り更新してまいります。

さて、新年一回目のノートは「セルフメディケーション」という言葉。
あまり使ったことがない言葉でしたが、年末にインフルエンザを発症したときに本棚にあった一冊の本を読んでいて「なるほど、やっぱり」と感じたのでタイトルにしてみました。
「ドラッグストアで買える あなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます」という本です。
病理学のヤンデル先生がSNSで勧めていたので即買った本です。
著者は児島悠史さん。

パラパラとめくって「インフルエンザ」という項目を読みました。
重症化のリスクが高い人でなければセルフメディケーションも選択できる、とあります。ふむふむ、自分はこれでいけそうだ。


セルフメディケーションのポイント
予防接種→仕事柄、2回打った でも発症しちゃった
手洗い、人ごみを避ける→心がけているけれど、そもそも仕事場が感染者の人ごみ
ゆっくり休む、水分補給をする→了解
と書いてあります。まずはゆっくり休むとしよう。

次に、薬を使う場合
アセトアミノフェン→持ってます
麻黄湯などの漢方薬→速攻使いました

なるほど、これがセルフメディケーションなのか・・・
漢方でいうところの「実証」の人ならば、これでだいたいのウィルス感染症は治っていくということなのだなあ。
そもそもウィルスには抗生剤は効かないし、免疫の力で治すのだから、薬は対症療法。(どこかで聞いたセリフですね)

様々な西洋薬が不足している昨今、みなさんが少しでもこの「セルフメディケーション」を実践できれば医療現場の混乱も少なくなるのではないかと感じました。
更に、児島さんは「治癒証明書」にも言及されていて「必要ありません」と断言。
理由としては、そもそもインフルエンザが治った証明を何らかの検査ですることはできないし、厚労省で登校登園基準は統一されているので、医師でなくても治ったと評価することが可能だから。
「病み上がりの体調で治癒証明書をもらいに医療機関に行くと、別の感染症をもらうことにもなりまねません。もし、あなたが企業などで治癒証明書の提出を求める立場にあるのであれば、考えを改めていただければと思います。」
と、書かれています。ブラボー!

他にも、目次がありとても役立つ一冊だと思います。おすすめします♪

院内掲示板より 2023・12・31

院内掲示板は「便秘」についてです。
老いも若きも、便秘の悩みをお持ちの方はたくさんいらっしゃると思います。

この前まで順調だったのに、急に便秘で苦しい、なんてこともありませんか。

漢方で考える便秘には、いろんなタイプがあります。

「便通が良くなると思って、毎日バナナたべているのに良くならない」
そんな方は、冷えによる便秘でバナナによって更に体を冷やしてしまっているかも。
ヨーグルトも、便秘にはよさそうなイメージですが(乳酸菌とか)、これまた冷えの便秘には逆効果なこともあります。

気血水の「血」や「気」が足りなくても、便が出にくくなる場合もあります。
それぞれ対処法が違ってくるので、自分はどのタイプかな?と考えてみるとよいでしょう。
自分は、最近になって「気の不足タイプ」の便秘が多くなってきました。補中益気湯を飲んでみると、一日後くらいに驚くほどの便が出たりすることがあります。
気のつまりが原因かな?ということも多いので、体の力を抜いて脱力~したり、柑橘系の果汁を摂ったりすることもあります。

お子さんの便秘も、どのタイプなのかを観察して毎日の食事や生活で養生してみるのもよいかもしれません。


疎経活血湯 2023・11・19

今回は、「疎経活血湯」(そけいかっけつとう)の生薬をご紹介します。
自分で試してみてちょっと感動した漢方薬です。
どんな時に使う薬かというと「関節痛」「神経痛」「筋肉痛」など。しかも、急性でも慢性でも、寒邪、風邪、湿邪、どんな痛みもOKというマルチな漢方薬です。
どんな生薬が入っているかというと・・・

〇当帰(とうき):養血活血 肝血を養い巡らせる
〇芍薬・地黄(しゃくやく・じおう):陰血を養い巡らせる
〇川芎(せんきゅう):活血 行気
〇桃仁(とうにん):活血化瘀 活血力強い 桃の種の中の仁
〇牛膝(ごしつ):肝腎を滋養 筋骨き強化 働きを体の下へ向けてくれる(足腰)
〇防風・白芷(ぼうふう・びゃくし):風寒邪を除き止痛
〇羌活・防已(きょうかつ・ぼうい):湿邪を除き止痛
〇威霊仙(いれいせん):風邪を除き止痛 経絡に侵入した邪を除去
〇竜胆(りゅうたん):清熱燥湿 長引く痛みによる内熱を除去
〇白朮・茯苓(びゃくじゅつ・ぶくりょう):胃腸の気を養い、水を巡らせる
〇陳皮(ちんぴ):乾燥させたみかんの皮 気を巡らせる
〇生姜・甘草(しょうきょう・かんぞう):隠し味 諸薬の調和

ふう~生薬たくさんです。
こうして書き出してみると、気血水の「血」(けつ)を徹底的に巡らせてくれているのが分かります。
しかも、「気」や「水」も巡らせ痛みを取ってくれる生薬たちが集まっているのですね。
牛膝(ごしつ)という生薬は、効果を体の下へと導いてくれるので、足腰の悩みにはよい漢方薬かもしれません。

他の生薬もほとんどが植物の根っこです。

根っこは足腰に効くのでしたね。

セリ科の植物が多いのも気を巡らせてくれるのかもしれません。


ここ数か月、足腰の痛みやしびれに悩まされていたのですが「まあ年のせいだし仕方ない」と我慢していました。
しかし、先日都内に出かけた時に階段はつらいわ、早く歩けないわ、腰から下が棒のようになってしまい「ワタシ、どこか悪いんじゃ?」と気分まで沈んでしまったのです。そこで、ハッとひらめいたのがこの漢方薬でした。


次の朝一包飲んでみたら、腰がぽかぽか、痛みも消え、おまけに気分も晴れやか、尿の出もよく、快便!
もう、びっくり爽快!
「瘀血」だったんだなあ」と実感。「瘀血」(おけつ)とは血の巡りが悪いということです。
そして、気血水のどれかがひとつが滞っているとすべてが歯車のようにつながって不調の連鎖になっていたことに気づいたのでした。

あくまでも、個人的な感想ですが、老化とともに進むのが「瘀血」だと習ったことも思い出しました。
80歳をすぎて、歩くことが困難になってきた父に勧めていた漢方薬でしたが、自分も朝晩で続けて飲んでみようと思っています♪

つまると痛い 2023・11・6

漢方養生ノートが6頁目になりました。
更新がゆるやかどころか、ご無沙汰な感じですが(;'∀')懲りずにご覧くださったら嬉しいです。
先月、薬物学マスターの認定試験に合格したので、漢方薬についてもたくさん書いていきたいと思っています。(思っているだけだったらごめんなさい)

さて、今日は「つまると痛い」というタイトルです。
冷蔵庫に食材がたくさん!冷凍室もぎゅうぎゅう詰め。。。まとめ買いは便利ですが、そんな庫内を見ると焦りませんか?
空いてくると、なんだかホッとするのです。
人の身体も同じで、「いきがつまる」「のどがつまる」「胸がつまる」なんて表現もあるように「つまる」と憂鬱です。
実際、食べすぎも漢方では「食積(しょくせき)」といって、お腹が詰まるという意味です。
便がつまれば「便秘」血管がつまれば「溢血」です。
そして、痛みを伴いますね。
漢方では、他に冷えると痛い、とも考えます。実際、脳溢血や便秘も冷えが原因ということもあります。

要するに、つまるといいことないということですね。
腹八分・・・いや七分くらいが理想です。便も毎日快調がベストですし、血液もサラサラが理想。気血水の「水」が詰まれば滞ってねばねば濁った水が体中に巡ってしまうのです。「痰湿(たんしつ)」という状態です。
そのために、そんなものを食べたらよいか、生活習慣はどうしたらよいか、と自分の身体(または家族の身体)について考えるだけでも「養生」なのだと思います。

クリニック案内

アクセス

  • 最寄駅:五井駅

医院名
医療法人社団 澄明会
もり小児科

院長
森 淳夫
住所
〒290-0035
千葉県市原市松ヶ島2-1-13
診療科目
小児科
電話番号
0436-26-1959